平成29年11月12日(日)
テーマ:「森田療法と五高」
会期:2017年11月11日(土)~12日(日) 会場:熊本大学工学部百周年記念館・インキュベーションラボトリー・その他
大会長:藤瀬 昇 先生(熊本大学 保健センター 教授)
【シンポジウムⅡ】 13:00〜15:00 『地震被災者のトラウマケアと森田療法』
座長:黒木 俊秀 先生(九州大学大学院 人間環境学研究院 教授)矢田部 裕介 先生(熊本こころのケアセンター)
演者:我妻 則明 先生(湘南台心理教育相談室)本学会災害対策委員会の活動と森田療法による被災者支援の可能性
岩井 圭司 先生(兵庫教育大学大学院 人間発達教育)災害後のPTSD〜見落とされがちな人を見落とさない〜
宇佐美 しおり 先生(熊本大学生命科学研究部精神看護学)熊本地震での看護職に対するPTSR・うつ状態悪化防止及び離職予防プログラム
髙原 朗子 先生(熊本大学教職大学院 教育学部附属教育実践総合センター)熊本地震時における児童・生徒への心のケア活動
平成28年(2016年)4月14日と4月16日に M6.5からM7.3の前震と本震、その後8月1日には1,900回以上、11月には4,200回以上の余震が続いた熊本地震だったが、弊社所在地の北九州市でも夜間等に今まで経験した事が無い程大きな揺れを感じ、いつまで続くのか(いつ終わるか)わからない不安と恐怖を感じた事を思い出した。私の親族が熊本県八代市に住んでおり、テレビニュースで流れる映像を見て心配になり安否確認を何度かした。幸いに怪我や建物の損壊は無かった様だが、私自身(揺れてもいないのに)揺れた様な気がして頭がくらっとする様な感覚を体が覚えてしまった様で、その後もニュースなどを見ると同じ様な感覚が何度か続いたのである。
不幸な体験や恐ろしい体験をした人の気持ちは同じ体験をした人にしかわからず、理解しようとしてもそれは想像の域を出ない。被災してない者が被災した人達に対して軽々しくトラウマケアなどと言ってはならないし簡単に心のケアができると思ってはならないと思う。
シンポジストの我妻先生は東北地震で被災された方を対象に、カウンセリングの基本「傾聴の方法」や「森田療法の基本的な考え方」などを中心とした同じ被災者のためのピア・カウンセラー(※同じ悩みや障害をもつ仲間の相談に乗り、悩みや障害をその人自身で克服できるようにに援助する人)の養成研修を実施され、その中でもPTSDの症状に対する森田療法的アプローチは支援者のみならず被災者にも受け入れられやすかったと報告された。森田療法的アプローチとは具体的には、震災当時を思い出すなどの辛い感情はそのままにして目の前のやるべき事をできることからやって行くことが結果として症状軽減につながり日常生活を取り戻して行くという考え方で「あれだけ大きな災害だったのですから、辛い事を思い出すのは当然ですよね」という話し方をすると辛い感情を受け入れられやすく「目の前のやるべき事をやって行くと、やがては辛い事を忘れられる様になって行きますよ」とういう話し方も受け入れてもらいやすかったとの事。
その他、今回のシンポジウムで心に残ったのは、一部の理解のない支援者への対応(移動手段や衣食住に関するお世話や苦情処理)も大変だったという事と、支援者が被災地のスタッフや被災者に対して「ありがた迷惑」になる可能性が有るという二つの話しが出た事だった。「足手まとい」になってしまっては折角の純粋な気持ちが仇になってしまう事を肝に銘じておかなければならないと痛感させられたと共に、お二方の勇気ある発言に感銘を受けた。加えて、被災地区の医療機関や行政機関に勤務する方自身や、家族、友人等が被災しているにも拘らず休まずに(休めずに)仕事をしていた方がおられた事、支援に駆けつけたくても諸事情により行かれなかった事に罪悪感を感じた方がおられた事を忘れてはならない。
株式会社ノース・ナイン・ステート
福岡・北九州のストレスチェック・メンタルヘルス企業
お役立ちできるEAP(メンタルヘルス外部相談機関)を目指します
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