
私のへなちょこ人生
第五話
神様からのプレゼント
前回はクッキングタイム♪だったので、これまでのお話を振り返ろうと思う。
【前回までのあらすじ】
学校で私を取り囲んでいる「みんな」がキラキラまぶしく見えるのに圧倒されてしまい、見た目も学力も追いつけてないことから自分否定→過食をして巨大化の一途をたどっていた、こもりのだが・・・。
どんどん大きな身体になっていくけれど、心はずんずん小さく孤独になっていき、学校内で身の置き場が無くて、コソコソ行動していた。授業ごとに移動する教室では毎回どこに座ろうかドキドキして、そのことに疲れてしまって授業で先生の言っていることは右から左へ流れていく。帰りのバスを待つ間に耳に入ってくる話題は、週末に控えているサークルやコンパの打ち合わせ。私は今からコンビニへ直行してパンとお菓子を大量に買うのに「みんな」はますますキラキラするんだ・・・と更に心はますます小さく孤独になっていった。
大きな身体の私もお昼休みにはお腹が空いてしまうから、ご飯を食べる場所を探すのにも学校内をウロウロしていた。その日はお弁当を持っていなかったから学食へ行ったのだけど、窓に向かって一人で黙々とお弁当を食べている子に目が留まった。学部は違うけど何かの授業を一緒に受けている同じ学年の子だった。私は思い切って声をかけて一緒にお昼ご飯を食べることにした。
その後も偶然見かけて手を振ったり、同じ授業の時は近くに座ったり、何曜日のお昼を一緒に食べようなどと、距離が近づいていった。ある日、ふと私は自分が登校拒否になりかけている胸の内を明かした。自分のことを学校に行かない、行けない、親に申し訳ない、家ではストレス解消で過食をしている・・・すると彼女は静かに返してくれた。「こもりのちゃんは自分のことを一生懸命考えてる子だよね。でも、いつもそうだとしんどいし、どうしても疲れちゃうよ。別に今のままでいいと思うよ」あの時心が震えたのは、感謝より驚きの気持ちが強かったからだとはっきり覚えている。
孤独だと思い込んでいた心を受け入れてくれる子がいるからと言って、すぐに学校のことを苦しさに包まれた場所と思わなくなった訳ではないけど、彼女の存在は私の心にぼんやりとした明るさをくれる、“ともし火”となった。大きな身体の私に対してとても小柄、だけど凛とした姿からは力強さだけでなく、“ともし火”が放つ温かさを感じていた。
私のへなちょこ人生に寄り添ってくれた彼女のことを、ここでは親しみを込めて“凛ちゃん”と呼ばせてもらおうと思う。今も変わらず年相応の私のボヤキに耳を傾けてくれる凛ちゃん、腹心の友でいてくれる凛ちゃん、いつもありがとう。そして凛ちゃんと出会えたご縁は神様からのプレゼントだと信じている。神様、いつも見守ってくださってありがとう。
第六話につづく…
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